「こいつはブラックサバスってぇバンドだ。
ギターを弾いてるのはトニー・アイオミ。
たまんねぇな、この音…」

吾郎は曲に合わせてギターを弾く真似をしている。
ヘビーな曲はしばらく続いて止んだ。
まだ、頭が揺れているようだ。

「そして最後。これだ」

その曲なら、優一も知っていた。
ショパンの幻想即興曲だ。
誰が弾いているか判らないが、達者な演奏であった。

「演奏しているのは韓国の女性。名前は李喜芽。
なぁ。優一、この人達には皆、共通点がある。
なにか判るか」

吾郎が意味深げに尋ねた。

ジャンゴ・ラインハルト。
トニー・アイオミ。
李喜芽。
音楽性も年齢も国籍も全く異なる。

「お手上げだよ、おじさん。何?
全員、音楽家なんてのはズルだからね」

吾郎は、ポケットから今度は、くしゃくしゃになった写真を取り出した。
「それが答えだ。見てみな」