俊輔は、シスター達に救援物資が間違いなく届くような手段を確立しようと
奮闘していた。
夫の懸命の努力を黙って見ている里美ではない。
自らもまた、行動を起こした。
彼女はまず、日本から納税者番付を取り寄せた。
そしてその番付に掲載された人物に対して、
支援要請の手紙を送り続けたのだ。
200通近く手紙を送り続け、返事があったのは僅かに十通。
億という資産を持っている筈の政治家や高級官僚からは全く返事が無かった。
中で一つ、どこをどう回ったのか判らないが、
直ちに実行できる案を持ちかけてきた男がいた。
男はスーパーやデパートの店頭で実演販売をしていると返事してきた。
そのついでに、村の子供達が描いた絵を絵葉書にして販売しようというのだ。全国を渡り歩き、契約している店舗数は100を超えるとも書いてある。
その全ての店舗で展覧会を開催したいと提案してきたのだ。
手紙には、以前にもそうやって地雷撲滅キャンペーンの
手助けをしたとも書いてあり、任せていただければ、必ずや成功させると結んであった。
里美には、その提案は子供達の現状を日本に知らしめる、
またとない機会に思えた。


男の名は山崎。
彼が自信に満ちて宣言した通り、最初に贈った絵葉書は完売した。
どうやら、言葉通り凄腕の販売員のようである。
絵葉書が売れた金で、山崎は貴重な物を大量に送ってきた。
マラリアに対して最も有効な防衛策、日本の蚊帳である。
このおかげで、特に乳幼児に対する被害が激減した。
今日届く荷物は、その第三回目の蚊帳である。
今にも分解しそうなプロペラ機が、空港に降り立った。

「来た来た。さて、太陽。力出せよ」
「了解、お母さん」
頼もしい返事を残し、太陽は飛行機に向かい走り出した。