「うわぁ」
驚いたのは津川君である。

「な、何すか何すか何なんすか」
なんだかラップみたいだな、と津川君は頭の隅で妙な事を考えている。
ふらふらと立ち上がった立川先生、ようやく相手が津川君だと
気付いた様子であった。

「津川君…か。すまん、驚かせてしまったようだ」
寂しげに笑う。
津川君にとって、先生のそんな顔も声も初めての経験である。

「先生…どこかお悪いんですか?」

先生、ニヤリと笑うとポツリ、と言った。
「悪いねぇ…津川君、僕は一週間後に死ぬことに
決定したんだよ…」
そう言いながら、先生は懐から一枚のハガキを出した。
見紛う事無く、それは津川君の出した不幸のハガキだった。

「そ、それは」

「知っているかね。不幸の手紙だ。昨日の朝届いた。いいかい、
文面にはこう書いてある。いや、書いたというよりは
貼った、かな。丁寧な仕事だ。
『これはカナダから届いた不幸の手紙です。これと同じ文面で
五人に出しなさい。もしも止めると、一週間後貴方に死が
訪れます。千葉の蒼木さんが止めて一週間後に、事故で
首が落ちて死にました』
…うう。こわいよう」

「はっはっは、先生。不幸の手紙なんて古臭い都市伝説ですよ」
津川君、立川先生の怖がる顔に、胸の内で勝利の雄叫びをあげた。
が、妙な事に気づいた。


四へ