なんでも、この京都駅ってぇのは羅生門を模したと聞く。
なるほど言われてみれば、そのように見えなくも無いが、
朱雀大路のそれとは自ずと趣が違う。
これでは芥川先生の目には留まらぬであろう。
なんにせよ、俺たち雀からすれば鉄と石の塊に違いない。
古い物は大事に使えば良かろうに、人間てぇ奴は
壊しては作り剥がしては塞ぎ、創造は破壊から
産まれるなどと嘯く。
なに、破壊しなけりゃ産まれないならそのままにしとくのが
まだマシだ。
温暖化だ環境破壊だと慌てふためく口で言うことでもない。
俺は雀だが、それぐらいはピンとくる。
まぁ、雀の愚痴など人間にはピィチクパァチクとしか聞こえまい。
判ったところで聞く耳など持たぬだろう。
しばらくは俺も黙って眼下を眺めるとする。
さすがにホームは活気に満ちている。
次から次へと人が訪れ、また何処かへ向かう。
一人、珍なる男がいる。
先程から電車の窓に向かい、念入りに髪を整えているようだ。
俺たち鳥族も羽の手入れを欠かさないが、かの君も
毛繕いに熱心なところは俺たちの仲間たる資格がある。
なにしろ着ている物もダウンとかいう羽衣だ。
哀れなことに、人間は寒さ暑さに弱いと見える。
俺たち雀の天敵である猫族は、暑い寒いに関わらず、
己の知恵一つで生きて文句を言わない。
猫のみならず、大抵の動物はそうだ。
ただ人間だけが始終着飾って尚足りぬ。
かの君は携帯電話を取り出した。
大したもんだ、遠く離れた相手と直ぐに話を交わせるというが、
それにしたって、今から行くと判っている相手に
念を押さなけりゃならぬのか、とも思う。
余程、会いたい熱意を見せつけたいのであろう。
ようやく髪が決まったらしい。
かの君は、この度はイヤフォンを取り出した。なかなかに忙しい。
虎落笛でも聴いている方がいっそ清々しくて良いと思うが、
音によって耳を塞ぎたいのだと鑑定する。
勝手にすれば良いが、やや前方に注意が足りぬようだ。
羽持たぬ身の彼は、今から柱を避けることも相成らぬだろう。
正に一寸先は闇、無常迅速である。
さて、食事にでかけるとする。
なるほど言われてみれば、そのように見えなくも無いが、
朱雀大路のそれとは自ずと趣が違う。
これでは芥川先生の目には留まらぬであろう。
なんにせよ、俺たち雀からすれば鉄と石の塊に違いない。
古い物は大事に使えば良かろうに、人間てぇ奴は
壊しては作り剥がしては塞ぎ、創造は破壊から
産まれるなどと嘯く。
なに、破壊しなけりゃ産まれないならそのままにしとくのが
まだマシだ。
温暖化だ環境破壊だと慌てふためく口で言うことでもない。
俺は雀だが、それぐらいはピンとくる。
まぁ、雀の愚痴など人間にはピィチクパァチクとしか聞こえまい。
判ったところで聞く耳など持たぬだろう。
しばらくは俺も黙って眼下を眺めるとする。
さすがにホームは活気に満ちている。
次から次へと人が訪れ、また何処かへ向かう。
一人、珍なる男がいる。
先程から電車の窓に向かい、念入りに髪を整えているようだ。
俺たち鳥族も羽の手入れを欠かさないが、かの君も
毛繕いに熱心なところは俺たちの仲間たる資格がある。
なにしろ着ている物もダウンとかいう羽衣だ。
哀れなことに、人間は寒さ暑さに弱いと見える。
俺たち雀の天敵である猫族は、暑い寒いに関わらず、
己の知恵一つで生きて文句を言わない。
猫のみならず、大抵の動物はそうだ。
ただ人間だけが始終着飾って尚足りぬ。
かの君は携帯電話を取り出した。
大したもんだ、遠く離れた相手と直ぐに話を交わせるというが、
それにしたって、今から行くと判っている相手に
念を押さなけりゃならぬのか、とも思う。
余程、会いたい熱意を見せつけたいのであろう。
ようやく髪が決まったらしい。
かの君は、この度はイヤフォンを取り出した。なかなかに忙しい。
虎落笛でも聴いている方がいっそ清々しくて良いと思うが、
音によって耳を塞ぎたいのだと鑑定する。
勝手にすれば良いが、やや前方に注意が足りぬようだ。
羽持たぬ身の彼は、今から柱を避けることも相成らぬだろう。
正に一寸先は闇、無常迅速である。
さて、食事にでかけるとする。