頃合いや良し。
おもむろに立ち上がり、
若様を寝かしつけ中の嫁はんを起こしに行く。

もうぼちぼちええかな。

静かに起き上がる嫁はん。

娘に少しだけ留守番を頼み、二人して家を出る。

毎年、必ずやっている夜桜見物に向かうのだ。
花見の最後はここに決めている。

歩いて二分、すぐ近くの公園に見事な桜がある。
一応、ライトアップはされているようだが、
ブルーシートも無ければ、花見客で溢れかえって
いるわけでもない。

11時を過ぎて僅かながらのライトも消され、
月明かりだけが頼りの花見だ。
だが、それがいい。

嫁はんもこの桜が好きなのだ。
二人して、ぼんやりと見上げる。
背中からそっと、抱きしめる。
今年も君と共に、沢山の桜を見ることができた。
そして今年も、君と一緒に、この桜に会うことができた。

咲いてくれてありがとう。
胸の中で礼を言う。

出逢えて良かった。

これからもよろしく。


桜と嫁はん両方に感謝。


いつまでもいつまでも、こうして花見ができますように。