「あら。裕香さん。何のようかしら?」

麗子は灰皿を引き寄せ、真紅に彩られた指先で煙草を
挟むと火をつけた。
裕香は、その煙草を奪い取ると灰皿で消した。

「とぼけないでよ。この泥棒猫。あたしの宏昭を
どうするつもり」

「どうするって…ばっかじゃないの?判りきってるじゃない」
きつい眼差しで麗子が裕香を睨み付けた。

「あぁ。夢の通りだ。ここまでは夢が教えてくれた」

「何言ってんの?ね、用が無いなら帰ってくれない?
これから大切な用事があるのよ」
ふふん、と鼻で笑う麗子に裕香も笑いかける。

「あら、あたしも大事な用があるわ。これよ」

バッグから包丁を取り出し、麗子に突きつける。
麗子の顔色が変わる。
「ち、ちょっと何考えてんのよ!やめなさいよ!」

裕香は包丁を腰に溜め、体ごと麗子にぶつかって行った。
「夢が現実になる時よっ!」