師走っていうぐらいですから、町ん中は
師が走りまくってますな。
教師、美容師、看護師、漫才師、錬金術師等々
ありとあらゆる師が走っております。
そんな中、のんびりと油を売っている者も
おりましてな。

「おい、金ちゃん。また遊んでんのかい」

金ちゃんと呼ばれた若い衆、また遊んでんのかいと
大家さんに叱られるのも無理ありません。
元は立派な大店の若旦那でしたが、
悪い友達に誘われてついつい賭場に行っちまいましてな。
ところが賭け事ってぇのは儲かるのは親だけってのが相場でして。
金之助、店の金に手を出しまして、とうとう勘当されちまいました。
知り合いを頼ってこの長屋に居候を決め込んで、早半年。
なんのかんのと理由をつけては、いっかな働こうといたしません。

見かねた大家さん、今日はえらく勢いがあります。
「今日はね、なんとしても働いてもらいますよ。もうね、
店賃も五つ溜まってんだ。少しは返してもらわないと、
わたしらも年を越せない」

「ほほう、五つしきゃ溜まってませんか。てこたぁ、最初の
一月は払ったとみえる。もったいないことした」

「なんてぇことを。さ、早いとこ支度して」

「いいですけど、一体何をさせようってんですか。
できりゃちょい、色っぽい仕事がいいね。
風呂屋の番台とか、小間物屋とか」