くす、っと笑って花岡は話を続ける。
「親戚も大変だったと思います。それほど豊かでもない
生活に、突然もう一人子供が増えたんですからね。
どうしても蔑ろになってしまいます。
あ、でもね、わたし感謝してるんですよ。
だから、これ以上迷惑はかけられないと思って、
中学を出て父の知り合いの陶房に弟子入りしました。
ようやく、満足できる物ができるようになったのが去年です。
あの露店に並べてあるの、全部自分の作品なんですよ。
幸い、父の窯だけは、まだ残っていましたから。
自分の店が出来るまでは、そうやって頑張るつもりなんです」

熊はあらためて、目の前の女性を見つめた。
か細く控えめな女性である。が、強い。
露店で見た作品にそれが良く表れていた。
繊細でありながら強いその器は、花でも
食材でも、その魅力を数倍に見せる力があるのだ。
熊がそのことを言うと、花岡は何故か目を伏せた。

「でもね、出来ないんです。この盛り皿が。
どうしてもこの色が出せない」

八へ