「それほどの妖気を持つ者が、未だにCNWに引っかからないとは…」

「だろ、福やん。不思議だよね。杉山さんに聞かなければ、
この先しばらくは気づかなかったと思う。よほど気配を絶つのが
上手いんだろうね」

とりあえず、全員に周知徹底することで意見がまとまった。
特に、人通りの少ない公園や裏通りを中心に巡回する。
その効果は早速、その夜に現れた。

「先生、出たよぅ!」
クロが走ってきた。

「クロさん、言ってたやつか?」

「あぁ、凄い妖気だよぅ。とりあえずサッチュに後を着けさせているよぅ」

「解りました。福やん、急ごう」
わふ、と福が応じる。
二人、弾丸のように走り出した。
現場と思われる場所には、まだ微かに妖気が残っている。

「これは…」

「間違いないですね。変だな…なんだか分類しにくい妖気だ」

その時、サッチュが帰ってきた。
「あ、先生、福さん」

「どうでしたか。何か判りましたか?」

それが、とサッチュはうな垂れた。
「見失いました。途中までは確実に追いかけていたのですが」

サッチュは、CNWきっての尾行術の使い手だ。そのサッチュが見失う事など
今まで一度も無かった。

「ふむ。どの辺りで見失ったのですか」

「吉住町第二公園で、立ち止まったんです。
驚いたことに、いきなり空を飛んでいきました」

「空を飛んだ…」

「西の方に向かって、スーっと。遠い間を
取っていたので、どうやったか判りません。何か口から出したような…」

イブは、ふと思いついた。
「西の方角。雷光洞があるな…」

福が垂れた耳をあげる。
「…雷光洞ってあの洞窟ですか?」

十一へ