ホームレスになったという自覚は有るが、さて何をしてよいか見当もつかない。よく見かけるブルーシートの家はどうやって作るのか。
というより、どこで手に入れるのか。

ベンチに腰をおろしたまま、ただ電車を見つめるだけだ。

「あんた、リストラ組か」

突然話しかけられ、岡本は振り返った。こざっぱりとした身なりの初老の男性がいる。

「さしずめ、どうしたらいいか見当もつかんのやろ」

岡本は、その男の優しげな口調に釣られた。
「はぁ、行くあてが無くなったのは確かです。何から始めたら良いかサッパリ判らない…」

「ついてきぃや。ここに住みたいなら、まず挨拶だわ」

「挨拶…?」

「そう。あこに見えるやろ。あん人がわしらの世話を見てくれるボランティアの西川はんや。公園管理者にもかけ合うてくれてん」

男に紹介されて、岡本は西川というボランティアに頭を下げた。

「まぁ、色々大変だろうが、まっさんに聞いてください」

「ありがとうございます、まっさんというのは…こちらの」
「あぁわしや。一応な、こんな暮らしでも秩序っちゅうもんが必要やからな、わしがやらしてもろぅてる」

三へ