「冗談よ。ね、今日さ、説明会でしょ。終わったら遊ばない?」

前言訂正。
さっきのは飛びっきりの笑顔じゃなかった。
今、目の前にあるのが超飛びっきりの笑顔だ。
高嶺の花。
それしか思い浮かばない。
高嶺の花なら、僕みたいな雑草に近付かなければいいのに。

「え、あの、ええと」

美香ー、なにしてんのー行くよーっ
はいここまで。あの声は振り向かなくても判る。
木内さんだ。
現実ってのはこんなもんだ。

「もう。せっかくの恋のチャンスなのにぃ。知佳ったら」
ぷぅ、と頬をふくらませたまま、桜井さんは小さく手を振った。
僕も振り返す。
占いは信用しないけれど、多分今日は年に一度有るか無いかの
ラッキーディーだな。

予感は当たった。
説明会の会場を出た途端、僕は一流企業からスカウトされたんだ。
よし、この勢いを借りて桜井さんとデートだ。
少しだけならバイト料も残ってるし、一週間節約すれば次の
バイト料も入ってくる。
あと必要なのは、ほんの少しの勇気。