「おい、急げよ」

押し殺した声が仲間を急かす。
闇の中にうごめく影は四つ、荒い息を立て次々に銅線や鉄板を運び出している。

言わずと知れた金属盗であった。
今夜の稼ぎは大きい。
誰の顔にも、思わず暗い笑みが浮かぶ。

「あれ見ろよ、あんな所に鐘が置いてある。ありゃ銅だな」

仲間を仕切る桑島が指差した先には、銅製の大きな釣り鐘が放置されてあった。

「ありがたい。あれは金になる」

「鐘だけに金になるってか」

クスクスと押し殺した笑い声を立て、彼らは銅鐘をトラックに積んだ。

その姿を見送る者がいる。
この廃材置き場の持ち主であった。

「助かった…」
被害を受けた筈の持ち主は、確かにそう言った。

桑島達の思惑通り、今夜の目玉になったのは銅鐘であった。
馴染みの買取業者は、満面を笑みにして喜んだ。
「こいつぁ、かなりの代物だ。いい稼ぎになるぜ、桑島さんよ」
盗んで来た金属は直ちに海を越えて、闇の金属リサイクル工場に運び込まれた。

そこで新たな製品として生まれ変わるのだ。

桑島達は、思わぬ大金を手に入れ、全員で繁華街に出向いた。

「よし、一つ豪勢に行こうぜ」
気勢が上がる桑島達のテーブルの隣で彼らを上回る勢いの男性が居る。

「はっはっは、厄落としができたからな、今夜は祝い酒だ」