そんな二人がまるで目に入らないように、蛮は気安く手をあげた。
「麻理ちゃん、ちょっとだけ待っててね。ちょいと用事を済ませてくるから」

「用事って…まさか」

「うん。吸血鬼退治。道具揃えるのに時間かかっちゃった」

気安く大変な事を言い出した。
当然、その言葉を聞き逃すビクターとジャックではない。
「貴様、そんな事が出来ると思うか。私とジャック、
二人を倒してからにしろ」

「ううーん…めんどっちいな。後で相手してあげるからさ、
待っててくんない?」

何だこの余裕は。
麻理は普段と変わらぬ様子の店長をまじまじと見つめた。
姿形、話口調、全てがいつもと同じだ。
「あの、店長」

「うん?なぁに麻理ちゃん」

「大丈夫なんですか、その二人も怪物だと思うんだけど」

「あ?あぁ、こいつらなら大丈夫。腐れ縁っていうか、
もう何度も闘ってるからね。その度にボロボロにして
あげるんだけどねぇ…丈夫なんだよね、こいつら」

もう何度も。
確かにそう言った。
この人、一体何者なんだ?
「あの、店長って一体…」

「その…こたえ…は、わたしが教えてやろう」
まだ、咽喉が痛むのだろう、咳き込みながら
ベイが現れた。
鼻から白い煙を出しているのが、かなり笑える。
その場に居る全員が思わず噴出してしまう。
ビクターもジャックも例外ではない。