背中のリュックからワンカップの日本酒を取り出し、地面に直接座り込む。
その年に有った出来事を桜に話しながら、ひとしきり過ごすのが常であった。

いつものように徹が話し始めた時、滅多に無い事が起こった。

人が現れたのだ。

徹は、口をポカンと開けたまま、その男を見つめた。
無理もない。

その男は、純白のタキシードを着こなしていた。

年齢不詳に見えるのは、その顎から伸びた白い髭のせいである事に徹は気づいた。

『佐野徹くん。そうだね』

一瞬、徹は悲鳴をあげかけた。
男の声が直接、頭に響いたからだ。

『驚かせてすまん。
わしは創造主だ。
君にお願いがあってやってきた』

創造主と名乗る男は、話しながら空間からテーブルと椅子を出した。

『かけてくれ。少し長い話だ』

考える暇も与えられぬまま、徹は腰掛けた。

『佐野くん。君は、巨大な隕石が地球に近づいているのを知っているかな』

聞いた覚えがある。
確か、地球に衝突したら、地殻と気候の凄まじい変化を招き、その影響でほとんどの生物は絶滅してしまうとか。

ただ、幸いな事に、どうやら隕石は地球から遥か彼方を通り過ぎて行くらしい。


『半分外れ。半分当たり』