「料理代に五万円と書いたのは、芸者を呼んだからだ」

谷山事務総長は、新聞記者相手にイラつきながら答えた。

「5人で八万円使ったぁ?酒に強い奴が揃ったから仕方ないだろが」


まぁったくこいつらは、国政の何たるかをわかっとらん!
谷山は、そうも考えている。

「だいたいだねぇ、地位の高い人間には、それなりの場所がふさわしいんだよ。はっはっは」


呆気に取られる記者達を尻目に見て、堂々と部屋に戻った谷山を大泉総理が待っていた。


「谷山さん」

「おや、総理。何事ですか。総理自らとは」

大泉は噛み潰しきれないほどの苦虫を口に入れたような顔だ。

「新しい大臣を紹介するよ。国民納得大臣、熊おぢさんだ」
総理の後ろから、大きな男が現れた。

「どうも熊おぢさんです。」

「今後、請求書は熊おぢさんの決済が必要になる」


「はぁ?総理、ふざけないでいただきたい」

「ふざけてるのはお前の頭だ」
熊おぢさんが谷山の頭に請求書の束を乗せた。

「とりあえず、これ全部没。支払いはテメェがやれ。あ、それとアンタ今日から出向してもらうから。」

「はぁ?」

谷山は未だに事態が飲み込めていない。
「お前の給料は大切な血税から出ている。びた一文使わせん。」

「じ、じゃあどうやって」

「過去に遡って計算した金額の三千万円、出向先で稼いで来い。それだけ稼ぐのに、どれだけの苦労が必要か判る場所だ」


「ど、どこ?」

「ベーリング海。カニ漁が解禁だ。気をつけてなぁ。落ちたら死ぬよ」


谷山はその足で港まで強制連行された。


熊おぢさんが国民納得大臣に就任した年、飲食費は八万五千円に抑えられた。

会議のほとんどが議員会館で実施されたからである。

その時の飲食は、議員が持参したお握りと水であった。

ちなみに谷山は、二週間で三千万を稼いだ。
帰国時、体重が13kg減っていたという。