短い眠りを妨げた
のは、カラスの群れ
であった。
彼らは、身動きもせず
丸まって眠るミルクを
餌と認識した。
鋭いくちばしで
突付かれ、ミルクは
飛び起きた。
追い立てられ、
逃げるミルクを
容赦無くカラス達が
襲ってくる。

ミルクを助けたのは
通りかかった
ジョギング中の青年
だった。

「こらっ!この
くそガラスっ!」

彼は来ていた
ジャケットを脱ぎ、
振り回しながら
走ってきた。
カラス達は逃げて
いった。

「おい、大丈夫か、
おまえ。…野良じゃ
ないな。首輪がある。
はは、なつっこいな。
…腹減ってるんか?
よし、ちょっと
待ってろよ。」

すぐ近くのコンビニで
キャットフードを
買い、青年はミルクに
与えた。

「うまいか。何も
食ってなかったのか。
全部食べろ。」

食べ終わったミルク
は、青年にお礼を
言うように頭を
ちょん、とすりつけ
また歩き出した。

「おい、行くのか。
家に帰るのか。
どうしよう。どこへ
電話したらいいん
だろうか。」

青年が知り合いに
電話してる間にも
ミルクはどんどん
歩いて行く。

「あ、おい待てよ。」

青年はとうとう
見失ってしまった。