「午前零時にだけアクセス出来るホームページ『地獄通信』に憎い相手の名前を書き込み、
送信ボタンをクリックすると、地獄に墜とせる」か…

石川利一は残業で疲れた目をマッサージしながら、
もう一度モニター画面を見た。
室内には他に誰も居ない。

「これ、本当かな…」
画面を下にスクロールする。

「本当ならやってみたいけど…でもなぁ、どうやら自分も死んでから地獄へ落ちるらしいしな。
それは嫌やっちゅうねん」

利一はモニターに片手ツッコミを入れ、仕事に戻った。

確かに横曽根課長は殺したいほど憎いが、自分が地獄に落ちるとなれば話しは別だ。
利一は何よりも自分が好きなのだ。

次の日、まるで恒例行事のように、横曽根課長が利一を手招いた。

「石川君。ちょっと来てくれるか」

課内全員が顔を伏せたまま、ニヤニヤと笑っている。
聞き取れるぐらい微かに「お疲れさん」と声をかける者もいる。

「は、課長、何か…」

「何かじゃないよ。君ねぇ、これ。この企画書。これさぁ、古い様式なんだよね」

「え。ちゃんと指定の様式を使ってますが…」

横曽根は利一の顔を見もせず、企画書を机に叩きつけた。