夜勤明けで帰宅し、束の間の昼寝をうつらうつらと楽しんでいると、
何やら人の気配がした。
見ると、娘であった。
おや、娘や
授業をバックレたのかね

「…試験中ですけど。しかも、やや腹痛」

あらま。そりゃ大変な
飯食うか?

「そやね。まずは腹を作るか」

そうそう。とりあえず銀行行くから付き合いなさいな

爽やかでええ天気やな

「銀行に何しに行くの?強盗?」

とりあえずはまだそこまで落ちぶれてないから大丈夫。
さて、お金おろそう

『そのままでお待ちください』

「お父さん。じっとしてなくてもいいんじゃない?」

え。でも、そのままでお待ちくださいって

「…なんでもかんでもツッコむと思わないでね」

けち。
明日も試験かね

「うん。古文と数学」

おお。どっちも苦手の教科やな。がんばれと言っておこうかね

「そうそう、今日ね、お父さんとの会話が役にたった」

へ。どんなふうに

「世界史で言葉が思い浮かばなくて。
ふとお父さんとの会話が頭に浮かんで、書けました」

何ていう言葉?

「クロマニョン人」

……ま、ええか。

「明日は雨だね」

うん?ははぁなるほど、なんでとは訊かないよん。
飛行機雲がいつまでも残ってるからやろ

「ち。知ってたか」

なめんなよ

「あ、あそこ。飛行機雲がちょっとだけ曲がってる」

おお。あれちゃうか、あそこで飛行機がフラフラしたんちゃうか

「操縦してる人が目まい起こしたとか」

そうかもしれん


飛行機雲が風で流されたとは思わない馬鹿親子であることよなぁ。