出迎えたのは、背の低い老人だった。
きちん、と黒いスーツを着ている。

「東京から来ました林田と申しますが。」

「御名前は伺っております。どうぞこちらへ。」
林田は、その男の後について敷地へと入った。

途端に足元にまとわりつくものがあった。
「ねぇあなた東京の人?」

あまりにも美しい少女だった。
14、5歳だろうか。生きている人形のようだ。
林田は思わず息を呑んだ。

「沙耶加お嬢様。お控えくださいませ。
こちらの方は大切なお客様です。」

「なによ田畑。あんた使用人のくせに生意気よ。」

「お館様に叱っていただきますよ?」

「…わかったわよ。ねぇ、おじさん。後で遊びましょ。じゃぁね」

田畑と呼ばれた男は苦々しげに少女を見送った。
「申し訳ございません。沙耶加お嬢様は
いつも退屈なさっておられるのです。
さ、こちらです。お館様がお待ちです。」

林田は言葉も無く、ただ圧倒されていた。
古い日本家屋だけが持つ、独特の重みに
思わずうなだれる。