「いらっしゃいま…あ、この間の」
「おう、すまねぇな、また頼むよ。こんだぁ、この写真だ」
松次郎は懐から携帯を取り出すと、店員に見せた。
「ああ、今度のも素敵な画像ですね。どちらかの病室かな?
2ショットですか、お安くないですね。なんだか素敵な笑顔ですね、
お二人とも」
写真が出来上がった。
「へへ、輝子のやつ、嬉しそうなツラしやがってよ」
店員に礼を言い、家への道をゆっくりと、ゆっくりと辿る。
急いでも仕方ない。
もう誰も待つ者は居ない。
「畜生、なんで先ぃ行っちまいやがんでぇ」
それ以外の言葉が出ない。
手ぬぐいで顔を拭った。
「暑いな、今日も。汗が止まらねぇや」
松次郎は二十年ぶりに嘘をついた。
止まらないのは涙であった。
ひっそりと静まり返る我が家の前で、松次郎はもう一度写真を見た。
何事か思いついたように顔を上げると、踵を返して歩き出す。
向かった先は市役所であった。
「ただいま。いい物を貰ってきたぞ」
仏前に封筒を供え、手を合わせた。
「ほれ、婚姻届だ。次もまた、一緒になろうぜ」
縁側から風が吹いてきた。
軒先の風鈴を鳴らした風は、線香の煙を柔らかく揺らすと、
松次郎の頬を撫でた。
「おう、すまねぇな、また頼むよ。こんだぁ、この写真だ」
松次郎は懐から携帯を取り出すと、店員に見せた。
「ああ、今度のも素敵な画像ですね。どちらかの病室かな?
2ショットですか、お安くないですね。なんだか素敵な笑顔ですね、
お二人とも」
写真が出来上がった。
「へへ、輝子のやつ、嬉しそうなツラしやがってよ」
店員に礼を言い、家への道をゆっくりと、ゆっくりと辿る。
急いでも仕方ない。
もう誰も待つ者は居ない。
「畜生、なんで先ぃ行っちまいやがんでぇ」
それ以外の言葉が出ない。
手ぬぐいで顔を拭った。
「暑いな、今日も。汗が止まらねぇや」
松次郎は二十年ぶりに嘘をついた。
止まらないのは涙であった。
ひっそりと静まり返る我が家の前で、松次郎はもう一度写真を見た。
何事か思いついたように顔を上げると、踵を返して歩き出す。
向かった先は市役所であった。
「ただいま。いい物を貰ってきたぞ」
仏前に封筒を供え、手を合わせた。
「ほれ、婚姻届だ。次もまた、一緒になろうぜ」
縁側から風が吹いてきた。
軒先の風鈴を鳴らした風は、線香の煙を柔らかく揺らすと、
松次郎の頬を撫でた。