「乱さん、ちょっと良い」

知り合いの看護師、Nちゃんに話しかけられたのが二週間前のこと。

「何や?デートなら他を当たってちょ」

寒い冗談を返す俺をNちゃんは、いつもとは違う真面目な顔で見つめる。

「どした。用事って何や」

思い切ったようにNちゃんは言った。
「乱さん、折り紙得意って聞いたんだけど」

う。何でそれをと焦ったが、仕方ない。
開き直ることにした。

「ああ、そりゃもう得意ですよ。折り鶴なんぞは目ぇ瞑ったまま足で折れる」

机の上にユリの花の折り紙を置いていたのがマズかった(笑

「教えてくれないかな」
Nちゃんは、かなり豪快な看護師さんである。
何が似合わないって、折り紙ほど似合わないものは無かろうと思われた。
で、その想いを口にした(笑

「君が。折り紙を。覚えてどうする」

「なによ。その鋭い目は。」


「いや、生まれつきだから。ちなみに何を折りたいの」

恥ずかしそうにモジモジしながら、Nちゃんは言った。
「…カーネーション」

「カーネーション。ああ、母の日。
買うたらええがな」


割と難しいのだ、カーネーションは。
花と花弁と茎と葉に分けて折らねばならん。

教える手間を考えると、花屋で本物を買ってくれた方が有り難い。