毘沙門天であった。
斬り捨てた柳生家門弟を右足で踏みつけたまま、十兵衛を睨む。
その手には、反りの無い真っ直ぐな刀がある。
踏みつけていた男を蹴り飛ばし、毘沙門天は十兵衛に対峙した。
「柳生十兵衛か。わしが毘沙門天である。
人であった時の名は、三代目服部半蔵。
大黒天がそう教えてくれた。この名、聞き覚えがあるか?」
それが本当とするならば、容易ならざる相手である。
影働きを主としてきた忍びの総帥なのだ、
尋常な攻撃はしてこない。
そして、その攻撃は予想を遥かに超えた。
毘沙門天は刀を納めると空高く浮かび上がった。
何かの仕掛けがあるとも見えないが、浮かんだまま微動だにしない。
毘沙門天の両手が素早く振り下ろされた。
空間に無数の手裏剣が生まれる。
鋭い切っ先を持つ手裏剣が十兵衛に雨霰と降り注いでくる。
次々に絶え間なく襲ってくる手裏剣を或いは弾き、或いは避け、
十兵衛は凌ぎ切った。
七十六へ
斬り捨てた柳生家門弟を右足で踏みつけたまま、十兵衛を睨む。
その手には、反りの無い真っ直ぐな刀がある。
踏みつけていた男を蹴り飛ばし、毘沙門天は十兵衛に対峙した。
「柳生十兵衛か。わしが毘沙門天である。
人であった時の名は、三代目服部半蔵。
大黒天がそう教えてくれた。この名、聞き覚えがあるか?」
それが本当とするならば、容易ならざる相手である。
影働きを主としてきた忍びの総帥なのだ、
尋常な攻撃はしてこない。
そして、その攻撃は予想を遥かに超えた。
毘沙門天は刀を納めると空高く浮かび上がった。
何かの仕掛けがあるとも見えないが、浮かんだまま微動だにしない。
毘沙門天の両手が素早く振り下ろされた。
空間に無数の手裏剣が生まれる。
鋭い切っ先を持つ手裏剣が十兵衛に雨霰と降り注いでくる。
次々に絶え間なく襲ってくる手裏剣を或いは弾き、或いは避け、
十兵衛は凌ぎ切った。
七十六へ