太郎丸が驚いて懐から地図を取り出した。
尚一層、韋駄天の唸り声が増す。
「おじさん、これ。お屋敷の前でもらったんだよ。ここに買いに来いって。
だいこく、って言ってた」

丸く印を打たれたその場所は、東叡山寛永寺。
天海僧正が開基した寺である。
さしもの十兵衛も言葉が無い。

「さて、目標が決まったようですの。十兵衛殿、わしらも手伝うよ。
迷惑しているのは同じなんでな」
仁衛門が憎々しげに袋を握りつぶした。

「この薬の為に、何人もの人間が狂わされておる。
この里の者も何人か行き方が知れぬ。
おそらく、かの地に居るのであろう。これを見て貰おうか」

仁衛門はまた懐に手を入れ、紙を取り出した。
「これが行方の知れぬ者達だ。他にも何人も居るが、
顔が判っている者だけ描かせてみた」

覗き込んだ十兵衛と又佐が思わず声を漏らした。
「若。この顔は」

「うむ。間違いない」

今度は仁衛門が驚く番であった。
「ご存知か?」



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