地下鉄南北線を王子駅で降りて少し歩くと、王子稲荷神社が見えてきます。
毎年二月の初午に凧市が立つので有名です。
ここは、関八州稲荷の総社です。
一番偉い狐さんがおられるのです。

毎年の大晦日、この場所で狐たちの審査が行われます。
この審査で良い成績を取った狐は、位が上がります。
立派なお稲荷さんになれるのです。

沢山並んだ鳥居をいかに速く、高く、美しく飛び越せるか、それが審査です。
沢山飛び越しても、時間がかかったり、美しくなければ良い点数はもらえません。
狐たちは普段から練習に練習を重ねるのです。
ですから、お稲荷さんの前には、必ず赤い鳥居が並んでいるのです。
そのお稲荷さんが、地元の人達にどれぐらい大事にされているかが、
それで判るのでした。

今年も、もうすぐ審査の日です。
付近には続々と狐たちが集まり始めました。
中に一匹、みすぼらしい狐がいます。
周りの狐たちがひそひそと陰口を叩きました。

「おい、見てみろよ、あれ」

「ほんと。恥ずかしいね、同じ狐として」

皆がそういうのも無理はありません。
その狐は、審査を受けるにしては、あまりに歳を取っていました。

二へ