帰宅途中の夕闇の中に、そいつは有った。
コンクリートの側溝沿いに続く細い道、
その道一杯に広がっている。
黒く大きな影が、俺の行く手を塞いでいた。

落し物にしては、大きすぎる。
後から来る人達にも迷惑だ。
俺は一肌脱ぐことにした。

と言っても、毛皮を脱ぐわけではないからね。
念の為。

近づくと、のたり、と動いた。
生きている!
何だ。でかい犬か、熊か。
どちらにせよ、何とかなる。
話しが通じるはずだ。

俺は少し安心して側に寄った。

違う。
いずれでも無い。

見極める間も無く、そいつは襲い掛かってきた。
グチョグチョとした手触り。
俺自慢の右爪フックも効かない。
逆にズブズブとボディーにめり込む。

くそ。
何だ。
ローキックも効かねぇ。
関節を極めようにも手足が無い。

そいつは、俺を飲み込みながら
ぼそぼそと話しかけてきた。

「おめぇ、おらの仲間を随分と
馬鹿にしてくれただな。
おらたちの事が嫌いだか」

い、いえ。んな事ないっすよ、
コメントでも言った通り、
俺は、ぼた餅さんが大好きっすよ。

「ほんとだか。ならば、おらたちを
全部食ってから帰れ」

その言葉と同時に、桜の下やら
雪国やら馬の耳やらから
わらわらとぼた餅達がやってきた。
うぅ、これを全て食うのか…

「ただいまー」

「乱、お帰りー。今日のご飯はね、」

「あ、俺外で食べてきたから。うぇっぷ。」

「え。でもチキン南蛮よ」

「あ。それなら食べる。別腹」

「デザートがこれ。ぼた餅」

いやぁぁぁぁぁぁぁ


ぼたもち三部作終了。
ぼたぼた。