ウィーピーは、その日、メンフィスに向かっていた。

このところ、やたらと咳が出る。
微熱も続いているし、疲れがなかなか抜けない。

風邪をひいたのだろうと考えたウィーピーは、暖かい南へ向かったのだ。

だが、彼は既に肺炎に蝕まれていた。


終わりは呆気なかった。

駅員からの連絡を受けた車掌が、貨物車の屋根の上でウィーピーを見つけた。


汚れたジャケットにくるまり、ひっそりと死んでいた。

ウィーピーの死を知ったホーボー達が、全米からメンフィスに向かった。


ウィーピーの墓は、町外れの小高い丘にあった。

そこからは、行き交う汽車が良く見える。

墓には、こう刻まれてあった。

『俺には月と太陽という時計がある』

ハープが吹ける者はウィーピーの好きだったHobo's lullabyを奏で、汽車を真似る。楽器が弾けない者はバーボンを持ち寄る。

葬儀は二日間続き、ホーボー達はまた、全米に散らばって行った。

ウィーピーの魂であるブルースハープは、ある男に引き継がれた。

残念ながらその男の名前は、資料には載っていない。
だが、今でもまだ、ウィーピーのハープは面々と引き継がれていると聞く。



今日もどこかでブルースが聞こえる。

それはウィーピーの魂なのだ。