「まぁ聞きなはれ。この前、川沿いのアパートに引っ越ししてきた年寄りがおるやろ」

「あんたも年寄りやがな」

違いない、と沸く一同を抑えつけ、会長の話は続く。

「あの人な、世界的に有名な黒魔術師やねん」

どよどよどよ。
黒魔術師て何や?
わし知ってるで、孫のゲームで見たことある。

収拾がつかなくなった場を横目で見ながら、俺はとんずらを決め込むことにした。
これ以上付き合っていられない。

その時、集会所に入ってきたジィサマに邪魔されなければ成功してた筈だ。

そのジィサマを見て、皆の口が開きっぱなしになった。
かく言う俺もその一人だ。

「すまん町内会長、待たせてしもうたな」

いたって普通の挨拶だが、その姿は尋常ではない。

高い襟の付いた黒いマント。
裏地は赤だ。
どうひいき目に見ても、悪その物といった顔。

一言で言い表すなら、黒魔術師以外の何者でもない。

それもかなりのボスキャラだ。

下手したら最終ボスぐらいの外見だった。

「お、来てくれたか。ささ、中に入ってちょうだいか。みな、紹介するでぇ。悪の魔術師、メギドさんや」

「あどうも。メギドと申しますー。すんまへんなぁ、いきなりで」