わしがまだ二十歳を過ぎたばかりの話じゃ。
当時、わしには志乃さんという大好きな娘がおった。
汗水流して働いたおかげでな、どうにか志乃さんを嫁に貰えるっちゅうことになって。
嬉しかったなぁ、今みたいに派手な結婚式はできんかったが、
それでも村の皆が祝ってくれてな。
毎日が夢のように過ぎていったんじゃが、ある日のこと、突然赤紙が来た。
知っとるか?赤紙っちゅうたら徴兵の知らせじゃ。
結婚して、僅か二週間でわしゃ軍隊に行かねばならんことになった。
一旦、志乃さんを実家に帰してな、はは、わしゃ未だに嫁さんを
志乃さんと言うてしまうな、ははは。
出征する前の日は、二人、泣きに泣きあかした。
目ん玉が溶けてしまうか、いうぐらいに泣いた。
そんでもな、汽車に乗るときは涙なんぞ見せられん。
お国の為に行く兵隊さんに涙なんぞは見せたらいかん。
志乃さんはな、歯を食いしばって、両方の人差し指で唇を無理矢理
上にあげてな、笑顔を作っておった。
あとで手紙で知らせてきたんじゃがな、
そのせいでな、わしに手作りの匂い袋を渡しそこねたらしいんじゃ。
当時、わしには志乃さんという大好きな娘がおった。
汗水流して働いたおかげでな、どうにか志乃さんを嫁に貰えるっちゅうことになって。
嬉しかったなぁ、今みたいに派手な結婚式はできんかったが、
それでも村の皆が祝ってくれてな。
毎日が夢のように過ぎていったんじゃが、ある日のこと、突然赤紙が来た。
知っとるか?赤紙っちゅうたら徴兵の知らせじゃ。
結婚して、僅か二週間でわしゃ軍隊に行かねばならんことになった。
一旦、志乃さんを実家に帰してな、はは、わしゃ未だに嫁さんを
志乃さんと言うてしまうな、ははは。
出征する前の日は、二人、泣きに泣きあかした。
目ん玉が溶けてしまうか、いうぐらいに泣いた。
そんでもな、汽車に乗るときは涙なんぞ見せられん。
お国の為に行く兵隊さんに涙なんぞは見せたらいかん。
志乃さんはな、歯を食いしばって、両方の人差し指で唇を無理矢理
上にあげてな、笑顔を作っておった。
あとで手紙で知らせてきたんじゃがな、
そのせいでな、わしに手作りの匂い袋を渡しそこねたらしいんじゃ。