堅い記事ですよ(笑


京都市中京区にその店はある。
若鶏専門店であり、特に有名なのが唐揚げ丼。
揚げたての唐揚げをたっぷり並べた上に、やや甘めの玉子が乗せられた丼である。

薄い衣の唐揚げは、秘伝のタレに二日間漬けられているらしく、噛むほどに味が染みでてくる。

大食漢の私が満足できるぐらい量もたっぷりで、赤だしも付いて値段は750円。

お薦めの逸品である。


さて、私が愛するこの店が、大変にくだらない事件に巻き込まれてしまった。

船場吉兆とかいう料亭だか食品メーカーだかの会社だ。

なんでも、船場吉兆の湯木社長が15年前の或る日、直々にとり安を訪れブロイラーを購入し、大変に気に入り契約するようになったとか。

ところが皆さんもニュースなどで御存知の通り、船場吉兆でブロイラー肉を地鶏肉と偽装して販売していた事が判明した。事もあろうに湯木社長は『とり安が地鶏と称してブロイラーを出荷した』と宣ったのである。

私はこの発言を聞いた時、爆笑してしまった。

何故か。

15年もの間、使ってきた肉が地鶏かブロイラーか見分けがつかなかったと言うのだ、老舗の料亭の社長が。

そんなもの、最初に買って食べた時に判るだろうに。
ちなみに、素人でも地鶏とブロイラーは見た目で区別できる。

それが判らないような知識しかありませんと発言したも同然である。

加えて言うならば、とり安は若鶏専門店である。若鶏といえばブロイラーのことを指す。

湯木社長の発言を聞いて、頭を抱えた社員も多いのではなかろうか。
勿論、誰よりも頭を抱えているのは創業者の故・湯木貞一氏であろう。


安く仕入れたブロイラー(とは言え、なかなかの値段ではあるが)を地鶏として高く売る。
そこには料理人としてのプライドや、商売人としての道徳観の欠片も無い。
儲かれば良い、どうせ消費者には判らないという、見下した思想があるだけだ。

人を馬鹿にし、価値を認めない者は『同じように己の価値も下げている』事に気づかないのだろう。

何にせよ、とり安が無事で良かった。

おそらく、これからの私の人生に吉兆で食事などという機会は訪れないだろう。

年が明けたら、
唐揚げ丼を食べに行くとしよう。

それは嘘偽り無く美味いのだ。