「だからもう少し早く
出ようって言ったのに」

「ごめんごめん。
とにかく撮ろうよ。」

何でイルミネーション
の消えたツリーの前で
写真撮らなきゃ
なんないのよ。

私は口ではそう言い
ながら、それでも顔は
笑っていた。

大好きな浩ちゃんと
ツリーの前で写真が
撮れるなら何でも
いいんだ。
でもやっぱり灯りが
点いてるうちに撮り
たかったな…

「来年は必ず灯りの
点いたツリーの前で
撮ろうね」って
言うから仕方なく勘弁
してあげたけど。

けれどそれはもう叶わ
ない約束。

あんなに元気だった
浩ちゃんは、単純な
風邪で死んじゃった。

あの夜、灯りの消えた
ツリーの前で撮った
写真が最後の一枚に
なった。

それ以来、私は一人
きりだ。

クリスマスも予定
なんか入れるわけが
ない。


楽しげなカップル達を
無視して部屋に急ぐ。

誰も待っていない暗い
部屋。
ツリーすら飾らない。
真っ暗な部屋。

浩ちゃんが生きてたら


私はあの写真を枕元に
置いて眠りについた。

…私は夢で浩ちゃんの
腕の中に抱かれていた。


浩ちゃんは「約束は
守ったよ」って言った
…うそつき

「うそつき」
いつの間にか言葉に
していたらしい。

悲しい夢だった。



さぁ、仕事行こう。


私は大事に写真を
棚に戻した。


目を疑った。

もう一度よく見た。


「な…に、これ…」

写真の中のツリーが
輝いていた。


確かに消えていたはず
のツリーが、まばゆい
ばかりに輝いて写って
いた。



彼は約束を守ったのだ。

今夜、ケーキ買おう
かな、涙を拭いながら
私はそう思った。