朱美もまた、空を見上げていた。
せっかく生きようとしているのに、なんと皮肉な運命だ。
彼女は少し笑った。

その時、いつか聞いた暖かな低い声が
頭に響いた。
「久しぶりだな」

「ウィンドっ?!あなたなの?」
思わず空を見上げる。

いた。
飛行クジラだ。

「元気そうだな。今日は別れの挨拶にきた」

「別れって?どこか行くの?」

「うむ。あの隕石まで行くよ。
私にしか出来ないことだ」

気がつくと、周りの人全てが空を見上げていた。

絶望し、それでも生きたいと思う人達が
地球上に溢れていたのだ。

貧富の差も、敵味方も無く、
世界中が生きたいという気持ちで一つになっていた。