突然、電車が動き出した。
驚いてしがみつく。

「てっちゃん、だめよ。手を離しちゃ」

「あぁ、かあさん。ごめ…ん」

何故ここに母が居るのだ。
俺は母を見ようとして、もっと驚いた。

俺の体が小さくなっている。
今の俺は子供の体になっている。

電車が止まり、母が近づいてきた。
あの頃の母だ。
少し疲れているが、とても美しい。

にこにこと笑って俺の手を取り、立ち食いの
屋台の方に向かった。

「てっちゃん、何食べたい?」

「僕、アメリカンドッグがいいな」

「ふふ、てっちゃん、いつもそれだ」

「おいしいもん」

ベンチに母と並んで座る。
母は、そっと頭を撫でてくれている。

「かあさん、いつでも側にいるからね。
てっちゃんが疲れた時も、ちゃんと側で
見てるからね」

「かあさんっ!」

その瞬間、俺は元の大人に戻っていた。
全てが消えていた。
ベンチも、屋台も、電車も。
そして母さんも。


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