今岡はまっすぐ店長室に向かったようだった。
もちろん、中田は店長室に向かうわけにはいかない。
しばらく店内をうろつく事にした。
それがかえって好結果を生んだ。

中田の目の前に幸一が現れたのだ。
幸一はレジで支払いをすませたところだった。
見慣れない財布を持っている。
遠くから見ている中田にも、その財布の中身が札で
ぎっしり詰まっていることは判った。

(あのやろう、どこでどう手にいれやがった!)
すぐさま捕まえて白状させたいが、今やると今岡がやってくる。
そうすれば元も子も無い。
黙ってついて行って金を全ていただく。

子供の物は親の物だ。
いずれ、残りのクソガキが待っている場所に戻るに違いない。
連れて帰ったら、死んだ方がマシだという目に遭わせてやる。
そしてその後、思う存分スロットに行ってやる。
もうすぐ切れそうだったシャブも買える。
中田は歯が剥き出しになるぐらい唇を上げ、声を出さずに笑った。



十七へ