何かと面倒見が良いイブは、とん、と屋根から飛び降りると
早速、その地区のカラスの長に話をつけに向かった。
杉山が後からついてくる。何とも妙な光景だ。

「杉山さん、あなたは飛んでいったら良いんじゃないんですか?」

「え?あ、あぁそうか。ついつい歩いちゃった。では、一足…
いや、一飛びお先に」

イブはすっかり杉山のペースに乗せられている自分に気付いた。
けれど、それほど悪い気もしない。
「なんだか呑気な人、いや、カラスだ」

カラスの大将は、いつものイチョウの木の上にいた。
上空で待っている杉山に合図する。
杉山は嬉しそうに下りてきた。

「いやぁ、カラスになって一番良いのは空を
飛べることだな。これだけは、ほんと良かったな」

「杉山さん。こちらこの地区のカラスの大将。」

「あ、初めまして」

「人の言葉で言っても伝わりませんよ。
マンションの付近であなたを見かけても、
何もしない、と仰ってくれましたから」

杉山は、人間がやるように深々とお辞儀をした。
「ありがとうございます。早速、家族の様子を見に行きます」

「あぁ、そうするといいです。…何があっても気を落とさないで」

「はぁ?ありがとうございます。では」
九へ