店の名前は「SWEET SOUL MUSIC」という。
えらく洒落た名前だが、年老いた男が一人で営んでいるらしい。
店はTOKYOのKABUKICHOにある。
未だに昔の街並みを残すディープな場所だ。
俺は念の為、銃を携帯した。
古ぼけたドアの上に、ピンク色のネオンがSWEET SOUL MUSICと
輝いている。Eの字が一つ消えているから、SWET SOUL MUSICに
なっているのがご愛嬌だ。

俺は軋むドアを開けた。
その途端、艶やかなボーカルが聞こえてきた。
思わず俺はニヤケてしまった。
聞き覚えのある曲だったのだ。
古い古い曲、グラディスナイト&ザ・ピップスの
「夜汽車よジョージアへ」だった。
狭い店のステージで、ホログラフのグラディスが歌っている。
見とれている俺に、しわがれた声がかけられた。

「あんちゃん、ボサッと突っ立ってないで中に入りな」
カウンターの中からだった。
この店の店主だろう。
年輪を刻んだ顔に、限りなく優しげな目。
ひっきりなしに煙草の煙を吐き出す口はシニカルに微笑んでいる。
白いYシャツに黒の蝶ネクタイが良く似合う。
ピカピカに磨きあげられたグラスを同じく磨き上げられた
カウンターに置きながら、マスターが言った。


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