「お前の母親も頭の悪い女だったが、娘も輪をかけて馬鹿だな。」

「母さまの悪口を言うな。」

「考え直せ。この町、なかなかどうして気に入った。
暗闇も多い。ここでお前と過ごすのもまた一興。」

ジャックがマントを広げた。
そこには夥しい数のメスが仕込んであった。

「逆らえば斬る。
何本我慢できるかな。ま、せいぜいが
8本ぐらいか。いくぞ。避けた方がいい。私のメスは魂さえも切り裂く。」

ジャックが両手に挟んだメスを空中に
放り投げた。
クルクルと回りながら舞い上がったメスは、
様々な軌道を描き、カミラに襲い掛かった。
上下左右から飛んでくるメスは、しかし一本もカミラには刺さらない。


メスは二つに分かれ、硬い音を立て、落ちた。


ブラッキーが全て咬み切ったのだ。

「ジャックよ。私の牙は貴様のなまくらなメスなどとは違う。何本投げようと、全て
噛み切ってしまうぞ。」

あの日、若者達の手首を一瞬で切ったのは
ブラッキーの牙であった。

「ほほぅ。相変わらず、良い歯だな。
さぞや美味い物でも食っているのだろう。
メスが効かない、か…ならばこれはどうだ。」

言うなり、ジャックの体から銀色の光が跳ぶ。
何か危険な物を察したブラッキーとカミラが
避けた。
二人が今まで立っていた場所がボコボコと穴を開けた。

「針だ。高速で打ち出した針が自由自在にお前達を襲う。その牙で、一本ずつ切れるか?」

ジリジリと追い詰められていく二人。