倒れたステップを抱きしめたのは、マリアだったんだ。
マリアは無理矢理バスを止めると、泣きながら走って来た。

「ステップ、どうして誰がこんな酷いことを」

「…マリア…マリア、なぜラスベガスへ…行かないんだ」

「あなたをこのままにしておけない」

「バカだなぁ…なぁ、あれ歌ってくれないか。アメージング…グレース」

野次馬達が集まる中、マリアは涙を拭うと静かに歌い始めたんだ。

Amazing grace,  how sweet the sound
That saved a wretch like me.
I once was lost, but now am found,
Was blind but now I see

Through many dangers,toils,andsnares,
I have already come.
T'was grace that brought me safe thus far
And grace will lead me home

騒いでいた人達が皆、静かになっていく。
マリアの歌声は空に昇り、地に伝わり、人々の胸を満たしていったんだ。