その日から麻実は、丁寧に正しく優しい洗顔を始めた。

心なしか、肌がツルツルして血色も良い。

そしていよいよ、この化粧品の最大の売り物、風水羅盤と実用方位盤、九星遁甲を組み合わせた特製の器具でカラーリングを決めていくのだ。

無論、望みが複雑なほど、それに応じて化粧も複雑になる。

本来ならば、単純な願いにするべきで有ったが、麻実には後が無かった。


ようやくセッティングされたコンパなのだ。

お目当ての彼をゲットして、幸せな家庭を築いて、老後も安泰、ライバルの響子には負けられない…
様々な思惑が渦巻く。
彼氏の名前、生年月日、血液型、趣味なども調べてある。

それら全てを考慮した化粧の設計図が仕上がった。


「よっしゃあ!人生勝ったも同然よ~」
と雄叫びをあげる麻実であった。

女性でも雄叫びで良いのだろうか。


当日の朝。
沐浴を済ませ、鏡に向かい、柏手を打つ。

ベースは白く明るめに。

瞳を印象づける為に目の周りは濃く。

前髪もポイント。


この化粧に合わせて衣装も揃えた。


よし、できた。
後は己を信じるのみ!


会場に向かう電車の中で、麻実は既に注目の的であった。

皆が振り返り、見つめる。

熱い視線を浴びながら、麻実はコンパ会場に到着した。


完へ