まただ。
また、煙が立っている。
この時期になると必ず、裏山から白い煙が立つ。
ベランダで犬にブラシをかけながら、私の目は
その煙の行方を追っていた。
白い煙は耐える事無く、高い空に昇っていく。
まるで空に伸びていくロープのようだ。

ふと思い出した。
去年も見た気がする。
いや、一昨年もだ。
気になった私は妻を呼んだ。

「なぁ。ちょっと来て」

「なに?」

「あれ。あの煙ってさ、毎年の今頃も上がってなかったか?」

妻はぼんやりと煙を見やった。
「そう言えば…見た気がするわね…」

「な。そうだろ。あれってさ、危ないよな?」

「そうね、火事にでもなったらここまで火が来るかも」
やはりそうか。毎年のことか。
しかもよく考えてみると、毎年同じ日だ。
10月19日。思い出した。
去年も私は、あの煙を眺めていたのだ。


二へ