「行きます!行くのです!絶対行くっ!」

「わ、判ったから。」

取り乱してしまった自分が恥ずかしくて、結衣は真っ赤になって俯いた。

「そうだ。こないだウチの店で買ってくれたワンピ着てきなよ。きっと似合う」

「げ」


「え?」

「や、わかりました。任せてくらさい」

さぁ大変だ。
結衣は改めて、例のワンピをクローゼットから出してきた。

恐る恐る着てみる。
入るはずがない。

デートの日まで、あと二週間。
結衣はワンピを壁に掛けた。
試合の相手を見るように睨みつける。

「着てやる。絶対これを着て、デートに行く」

ワンピに向かってファイティングポーズを取る。
結衣の闘いが始まった。

「減量は食生活と運動」
それは判っていた。
食べ物だけに頼ったダイエットは、結局無理がある。
幸いにも結衣は剣道部でハリケーンだったのだ。
しばらくぶりに竹刀を取り出し、近所の公園に向かった。

素振りを繰り返しているうち、息が上がってきた。

「な、情けない…」

体が鈍りに鈍っている。
這うように部屋に戻り、冷蔵庫を開ける。
知らず知らずのうちに、炭酸飲料を飲もうとしていた。

「わぁぁ。だめだってば」

慌てて中身を棄てる。

「この500mlに、糖分がどのくらい入っているか。お茶よ、お茶」