「ひもがゆるんだの」
おそらく、鉢を結わえていたビニール紐が途中で緩んだのだろう。

そこから抱えてきたに違いない。

「ばかだねぇ。そんなに大事なひまわりなら、家に置いてくりゃいいじゃないか」

「でも、大きくしなきゃだめだから」


「とにかく手当てしなきゃ。明日から家の仕事も手伝ってもらうからね」

「はい」


「さ、これでいい。」
キツい口調とは裏腹に、丁寧に包帯を巻き終えた。

こうして、仏頂面のまま、聡子は晴美と暮らし始めた。

朝は6時に起きる。聡子は朝食を作り、晴美は庭の花に水をまく。

ひまわりの手入れも念入りに行う。

朝食後は勉強。
聡子は畑に行く。
そこで採れた野菜は、その日の昼と夜に出る。

勉強が終わり次第、晴美は走って手伝いに来た。

その姿にわずかながら孫への愛しさが湧く。

いつの間にか、聡子の仏頂面は消えていた。


晴美が来てから四日目の朝、ようやく敏正から電話があった。
「母さん、晴美は元気にやってますか」
「やってますかじゃないよ。薄情な親だねぇ」

「申し訳ない。今まで病院にいたんだ。どうやら峠は越えたけど、まだ油断できないらしい」

四へ