「彼女、この街を離れて都会に行くんです。
叶えたい夢があるんです。
…俺は、母さん一人に出来ないから、地元で働くんす」

青年は、夜空を仰ぎ見ている。
そこに、彼女の笑顔を浮かべているかのようだ。
「だから、頑張れって言うしか無いじゃないですかぁ」

上を向いたまま、そう言った。

「なるほどねぇ…励ましセットだな、こりゃ」

おやっさんはゴマ塩頭に豆絞りの鉢巻を巻くと、牛蒡天とガンモドキにコロを盛り合わせ、カラシを多目に付けた。

「だったら、最後まで格好つけなきゃなぁ。
彼女と何処かでまた出会った時に、胸を張って真っ直ぐに顔を見られるようにな」

青年は、うん、うんと頷きながら牛蒡天を頬張った。
「おやっさん、これカラシ効いてるね」

「あぁこりゃ申し訳ない。効きすぎて泣けてくるかもな」

おやっさんの言葉通りだ。
青年はカラシが効いたらしく、涙を溢れさせた。
「失敗したからな、今日はおごりでいいよ。
頑張って働きな。
彼女も頑張ってんだからな。
何も考えずにがむしゃらに働く時期ってのが、一度くらいは有ってもいいのさ」

おやっさんは気づかなかったが、熊に似た男が、通りすがりにその言葉を耳にして激しく頷いていた。



さて、今年もあと二日。
つくねは頑張って働いてますよ(・ω・)/

みんなも頑張ってくだされ