夫の荷物からコカインを見つけたミリアンは、名案を思いついた。
用意を整え、後は待つばかり。

そして現れた犠牲者がカートであった。
思ったとおり、警官達はカートの尋問で頭が一杯のようである。
ミリアンの車は、触られる事も無かった。

「気をつけていきな、幸運を祈ってるよ」

「ありがと」
軽くウィンクし、ミリアンは車をスタートさせようとした。
その時、ペティが一声吠えるとミリアンに向かってきた。

(…まずい)
ミリアンの微笑みが不自然に歪む。


だが、ペティはミリアンの頬を一舐めして警官の元に戻った。
おとなしく座り、大きく尻尾を振って見送っている。

ミリアンの心配は杞憂に終わった。
ペティは麻薬探知犬である。
そもそも、血の臭いには反応しない。


『珈琲をもう一杯いかが』

カートの車から聞こえてきたドリー・パートンの歌声を
真似しながらミリアンはアクセルを踏んだ。