「さぁ、早くしないと逃げられるわよ…」

哲也がふらふらと窓に向かう。

後ろから玲子がついていく。
少し、後押しをしてあげるつもりだ。

上手くいきそうね。
玲子はニタニタと笑った。

しかし、彼女は哲也の暴力性を甘く見過ぎていた。

彼は、突然振り向くと玲子に向かって来た。


哲也は、いつものように爽やかに目覚めた。
いや、いつもより爽やかである。

何故なら、とうとう夢に現れる女を追い払うことに成功したからだ。

その細い首を思い切り絞めたのだ。

まだ、指先に感触が残っているようだ。

「酒だ。酒を飲もう。おい、玲子、酒だ!
玲子」

妻は窓際のソファーに居た。

「玲子…」

哲也は起こそうとしてあきらめた。

玲子の首が、有り得ない方向に曲がっていたからだ。

「玲子…弱ったな…酒の肴が無いなぁ」

数の子がまだ有ったかも、哲也は玲子を跨いで台所に向かった。