随分長い間、猫を
きらした事が無い。
気がつけばいつも、柔らかな毛玉が側に
いた。


京都に新京極という
通りがある。
その中程辺りに奇妙な
ペットショップが
あった。フクロウや
ハクビシンなどの、
ペットショップに居て
良いのかと思わせる
動物達で店内は溢れて
いた。

俺と嫁はんは、よく
その店に行った。
お目当ては一つ。
『無料猫』と札が
付いているケージ。

その店は、捨て猫を
預かって里親を探して
いたのだ。

俺は当時、1Kの
アパートで暮らして
いた。もちろんペット
禁止なのだが、既に
一匹、猫が居た。

その日もいつもの
ように無料猫(嫌な
呼び名だ)を見に行き
、彼に出会った。

白と黒の子猫が、
ケージから片手を
出して必死で鳴いて
いた。

鳴き続けているのだ
ろう、その声はガラ
ガラにかすれていた。

俺も嫁はんは、一旦
店を離れたがどうにも
堪らなくなっていた。

「あの子、もらお。」

二人が同時に言った。