「先生、ちょっと見せてもらえます?」
おかしいのである。今、先生が読んだ文面は津川君が作った
物とは違うのだ。
津川君は、千葉の蒼木さんがどうのこうの、などとは貼った覚えが無い。
死が訪れます、という文字を貼ったところで近眼が疲れたのだ。
だが、手渡されたハガキには、確かにその文章が貼ってあった。
しかも、津川君が使用した原稿と同じ文字だ。
津川君、見事な鳥肌が立った。

「せ、先生、いっそ五人に出せば良いじゃないですか。
なんなら、うちの編集部宛に出してくれても」

「津川君。痩せても枯れても、この立川は言霊を
書き綴って己の口を糊している。
他人に迷惑をかける言葉だけは書きたくないのだ」
立川先生、莞爾と微笑んだ。

か、かっこいい…津川君、正直にそう思った。
いやいや、そんな事をのんびりと考えている場合ではない。
もう一度、手紙を調べる。
何故、文面が足されたのだ。
犯人は編集部の奴等だろうか。

「先生、とにかくこんな物は都市伝説でしかありません。
気にすることは無いですよ。こんなもの、破っちまえば
いいんです」

「や、止めたまえっ!」
立川先生が必死で止めたが、津川君の手の中で、ハガキは
見事に破られてしまった。


五へ