「おかしな奴だなぁ、立杉くんも。慌てて逃げて行ったよ?」
くっちゃくっちゃくっちゃ。
さも当然のように、横曽根の手のひら納豆は続いた。


「ふふふ。器が小さいなんて偉そうな事を言ったからね、器を使えなくしてしまったの。
これから先、納豆を食べる時は必ず手のひらを使うわ。
どう、気に入ったかしら?」

気に入ったどころでは無い。
利一は笑いを堪えるのに必死であった。

「さ、最高だよ。
あ、ところで俺は何をしたらいいんだい?」


霊子がテーブルの上に紙を置いた。
請求書、と読めた。

「いつもニコニコ現金払いでお願いしておりますのよ、おぢさま」

「はぁ。ま、いいや。充分楽しんだし…」

利一の目玉が落ちかけた。
請求書に記入された金額には、7という数字の後ろに0が六つ並んでいる。

「7ひゃくまんえんすか」

「ええ。無かったらサラ金で借りてきてね♪
あ、払わないと大変怖い目に遭うわよ」

「し、借金地獄じゃん…」
へなへなへな。

「じゃ、またご贔屓に」
四つん這いになった利一の肩をぽんぽんと叩き、少女は店を出た。


三途霊子、セーラー服を着た悪魔。
人は彼女をこう呼んだ。



『生き地獄少女』