「よくぞ我が太刀筋を見切ったな」

「は、真っ正直にわての首を狙うたやろ。狙う場所さえ判れば、
受け止める力さえあればええねん。土蜘蛛、絡めてまえっ!」
河童の檄に応え、土蜘蛛が渾身の力を込めて糸を吐き出す。
それはたちまちのうちに毘沙門天を雁字搦めにしていく。
毘沙門天は、見る間に巨大な蛹と化していった。

「よっしゃ、輪入道、火ぃかけろ」
土蜘蛛の糸に輪入道が火をかけた。
巨大な松明に変じた毘沙門天は、絶叫をあげながら境内を転げ回る。
徐々にその動きが鈍くなっていく。
そして緩やかにその動きを止めた。

「勝った、のかな」

「つついてみぃ」

「つんつん。動かないぞ」

沈黙し、互いに顔を見合わせる。

「勝ったんじゃないかな」

「勝ったな」

「やったようだ」
歓声をあげるかと思われたが、河童も土蜘蛛も輪入道も
既にぼろぼろの状態である。
へなへなと腰を下ろし、座り込んだ。