金ちゃん、迷うことなく懐に入った十円を男に
差し出しました。
「これでいいんだろ。さ、お幸ちゃんを返しておくれ」

「こりゃすごい。やるもんだねぇ、あんた。
こちとら金さえ貰えば文句は無いんでぇ。
ほら、大事にしてやんな」

「金ちゃん」

「お幸ちゃん、良かった。さて、働きに戻るかな、じゃあまた明日」

「待って金ちゃん、どうして借金払ってくれたの」

「あ、いやそのなんだ。なんでだろ。」

「きっといつか返しますから」

「返さなくていいよ。」

「だって」

「いいんだよ」

「でも」

「うるさいな、だったらこうしなよ。夫婦になっちまやいいじゃねぇか」

「え」
まぁ、こう言ったものは勢いでございます。
とうとう二人は夫婦になりました。

病弱なおとっつぁんも引き取って、三人仲良く暮らします。
金ちゃん、今日も朝から働きに出かけます。
大家さんが声をかけました。

「金ちゃん、朝から精が出るねぇ。これもみな、お幸ちゃんのおかげかな」

「へっへ。まったくその通りで」

「しかし変われば変わるもんだね」

それはそうでございます。
金ちゃん、今までずっと油を売ってましたからな、

付け木売りのお幸ちゃんに火を点けられてしまったというわけで。

おあとがよろしいようで。