二日目。午前11時。
今日も朝からヘイスタックは食べ続けている。
神田寿司のマグロはそろそろ尽きようとしていた。

実は、このヘイスタックこそが旧・神田寿司が
閉店に追いやられた原因であったのだ。
毎日毎日、トロばかりを食べつくされた
神田寿司は店を続けることができなくなったのである。

そして今、西海岸店もその運命を辿ろうとしていた。

「ヘイスタック!あなた、またそんなヤボをやってますね」

「あ、あんたら」

「大将。大丈夫です、私たちに任せてください」

西海岸店に次々にマグロが運ばれてきた。
寿司にうるさい彼等が選んだだけあって、
最上級のものばかりである。

「こいつぁすげぇ」

「私たち、あの頃は何もできなくて
悔しい思いをしましたからね。
今度はそうはいきませんよ」

さしものヘイスタックも5日目で食べ飽きた。
見事、西神田店は危機を乗り越えたのである。

「ありがとうよ。あんたらのおかげだ」

「かまいません、私たちも良い商売ができました」

「今日は俺のおごりでぃ。何でも好きなもん、
握るぜ」

「それじゃぁ」

「へぃ、何握りやしょ」

「手」

「え?」

「手を握ってください。握手、ともいいますが」

「へぃ、喜んでっ!」